劇場:ユーロスペース
今年初の劇場鑑賞。
編集さんの部屋にチラシが飾ってなかったら、危うく見逃すところでした。
「フルスタリョフ、車を!」は見なきゃ見なきゃと思いつつ、未見のまま遺作を観ることになってしまった。そちらも探します。
ちなみに わたくしの中で、ロシアのすごい監督、その四、くらいのイメージ。
ソクーロフの「ファウスト」を観た後の感想ととても似ている。
何が起こっているのか、ついていこうとすると取り残されてしまう。
台詞と動きの連続で、目まぐるしく神様を取り巻くあれやこれやが通り過ぎていく。
と書いていて、すごく「8 1/2」に似ているのかもしれない、と思った。
監督の苦悩と神の苦悩。
フェリーニだって映画(もしくはイタリア映画)という狭い世界では神みたいなもんだろうし。
正直本作に関しては、苦悩というより情事の連なりのイメージが強いが。
ただ、ラストは前述の二作品と違い、高揚感と呼べるものはあまりなかった。
そこに「人生は祭りだっ!」とか「魂の解放だっ!」みたいなラストがあれば「悔しい!今年一位!」と言っていたかもしれない。
この映画たちを同じ線上にあげているからこその意見ですが。
顔に泥とかを塗る描写は確か異世界へ入っていく暗示だったと思うけど、顔に重油?を塗りたくるシーンが出てきたので、お、虐殺くるか?と思いきやなかなか来なかった。
ちゃんと分析すればあそこからなにか変わっていたのか。
あと最近プロップ論を少し読んだりしていたので、ロシアつながりでその辺をとても期待していたけど、そこを探す余裕がなかった。
もしくは晩年の宮崎駿みたいに、そんなんで映画はもう撮りたくないんですよ!って感じなのか。
もう一つ、「家畜人ヤプー」との類似性を考えようとも思っていたけどそんな余裕もなかった。
結局、ゲルマン監督は完成間近で亡くなったわけだし、完璧ではない、ということでしょうか。
「日陽はしづかに発酵し…」と同様、ストルガツキー兄弟はわたくしにはまだ到底理解できるものではございませんでした。
あとはトルストイに賭けます。
一つ声を大にして言いたいのは、「空前絶後 二十一世紀 最高傑作」というコピーは、映画を馬鹿にしているとしか思えない。
機会があればもう一度観に行きます。
4/5 追記:
レンズを覗き込む人々、あれはやばい。
常に現実とスクリーンの境界線を無くそうとしてくる。
ハネケかと思った。