2013年7月30日火曜日

カフカの「城」

ハネケのテレビ映画。
カフカの未完の長編「城」を映像化したもの。

ハネケは「白いリボン」までは映像があまりにもテレビすぎる。
これはテレビ用だからいいのかもしれないけど。
フルサイズもきちんとフルサイズ。
人間が豆粒になってくれない。

ラスト、いきなり映像が終わって「原作はここまでしか書かれていない」って…。
原作読んでカフカに愛があってこその映画だった。

2013年7月29日月曜日

「終戦のエンペラー」

劇場:新宿ピカデリー

終戦直後、昭和天皇をめぐる物語。

なんか、本当にアメリカが作ったのか?と思うほど淡々としていた。
そしてラストで「うわー!」って言わせて、終わる。
まるで日本映画のように。
その小出し感がとても新鮮だった。

要は、「百聞は一見に如かず」。
ラストの昭和天皇とマッカーサーが出会うシーンは、一瞬だったけどすべてを丸め込んでしまった。
史実だからと言っても、このテーマであの使い方は卑怯ってくらい。

ただ、どうしても「太陽」には敵わないわけで…。
イッセー尾形のイメージがでかすぎて、昭和天皇がしっくりこなかった。
あと主人公にも魅力が全くなかった。
なんなんあいつ。
恋してるだけやん。

桃井かおりは「太陽」を見て抜擢されたと信じている。
そして竹やぶでキャハハウフフは21世紀の映画でやっちゃダメだと思う。

「桃太郎」

コマトリエという大阪の会社の作品。
一コマずつ撮る絵だからコマトリエなのか!
多分。

キャラクターたちが可愛い。
セミのおしっこなど、キャラクター一匹一匹に愛があった。
そして桃太郎とその仲間たちが並んで歩くシーンに、子供向け、という以上のこだわりを感じた。

予告にあった、老人が旅に出るやつがやばかった。
予告だけで涙腺がやばかった。
ユーリ・ノルシュテインの「外套」を思い出した。

こんな、自分の子供に見せれる作品を作るってなんて素晴らしいんだろう。
むむむの制作に早く取り掛かろう。

2013年7月27日土曜日

「シャニダールの花」

劇場:テアトル新宿

石井聰互が改名しているなんて知らなかった。
石井岳龍として二本目の作品らしい。

人間に花が咲くってアイディアが面白い。
隔離病棟のシーンの流れはとても巧く、すんなりとこの世界に入って行けた。
脚本は違う人らしい。

そして一番素晴らしかったのが、この映画のピークである中盤の一人の患者の反乱シーン。
通り魔殺人のような、異物が混ざり込んだようなあのカットは鳥肌が立った。

でも悲しいかなここからどんどんと勝手に話が進んで行き、あー結局今年のBEST3には入らないんだろうなーとか考えてしまった。
残念。

黒木華さんめっちゃ良かった。
巨乳だったらもっと良かった。

こういう個性の強い監督の作品って、中盤を越えた辺りからの盛り上げ方が巧くないと一気にだれてしまう。
頑張ります。

2013年7月21日日曜日

「風立ちぬ」

劇場:新宿ピカデリー

感嘆と畏怖と恐怖の「崖の上のポニョ」から数年。
期待したかいがありました。

「崖の上のポニョ」は、子供向けだからいんだよこまけぇ事は!用は純粋な愛なんだよ!
という感じで全てがぶっとんでいて、なんじゃこりゃああ!という感じでしたが、今回は純粋な愛と夢を大人も解るストーリーで順序立てて魅せてくれました。

そして随所に自然への愛に満ち溢れていて、アニメーションの表現としてここまでこだわれるのはとてつもない精神力だと思う。

もうどのシーンを思い出せばいいのか頭が追いつかないですが、とりあえず結婚式のシーンは本当に美しかった。
雪の中廊下を歩く彼女、そして愛おしい二人のキャラクターが盛り上げるあのシーンは涙無しでは見れなかった。

そして良く聞く「宮さんはサービス精神が足りない」という言葉を、いとも簡単に覆してしまったと思った。

続く。

続き。

なんて言うか、今回は全てが丁寧だった。
少年期の度々夢に入って行くシーンなんて、こんな堂々とやっちゃうのか!と感動した。

唯一この映画で自分に考える余地があったことと言えば、ラストの飛んで行く飛行機だろうか。
少年が夢で描いた飛行機も、青年になって追い求めていた飛行機も、全て不完全で墜落していった。
でもラストに主人公が見た夢では「紅の豚」のワンシーンみたいに他の飛行機の群れに消えていってしまった。

映画のラストとしては完璧なんだけど、主人公の夢の終わりでもあるのかと。
妻を亡くし、少年からの夢を一区切りさせてしまった主人公のこれからを考えると思う事も多々。

いや、いいのか映画だから。
その先の心配を毎度させてしまう宮崎映画は、やっぱり人間を描くのが上手いと言う事なのでしょうか。

兎に角もう一回観る。

追記:
そういや、台詞の先が読める部分が多々。
この台詞の後はこの台詞だろっていう。
それが見事に当てはまっていったので、自分の台詞造りの根源にはジブリ映画の影響も少なからずあるのかもしれない。
それかただよく見ているからか。
それかその両方か。

2013年7月19日金曜日

「Světlonoš」


聖火ランナーというタイトルらしい。
ヤン・シュワンクマイエル総裁の息子さんがとったストップモーションアニメ。

これがめっちゃ面白い。
ダークな中世?のイメージに機械仕掛けのトラップや音が心地いい。
ずっとマントが靡いているとか、小さなこだわりもよかった。
そしてストーリがシンプルでオチも奇麗にハマり、上手いとしか言いようがない。

息子さんはエンターテイナーだった。

2013年7月15日月曜日

「フィギュアなあなた」

劇場:シネマ・ロサ

石井隆先生の新作。
今年は新作が二本も公開されるということで、高まる期待の中一本目を鑑賞。

が、こんなはずじゃなかった。
シーンが変わるごとにただ乳を揉み陰毛を撫でる主人公。
だらだらと続くあまりにも酷すぎる演出の二人の不器用な恋。
前半のズーレーカップルとの逃走劇は面白かったのに。

ストーリーは金子修介の「いたずらロリータ。うしろからバージン」。
なのでピンク映画として観る分には楽しめる。
でも「人が人を愛する事のどうしようもなさ」を撮った監督として観ると、いろいろと哀しくなってしまった。

一緒に行った女性も、「ピンク映画だったね〜」と。
違う。違うんだ。そうだけどそうじゃないんだ。
石井監督の良さはエロスだけじゃないんだ…。

次の「甘い鞭」に期待する!

2013年7月6日土曜日

「ワイルドスピード ユーロミッション」

劇場:バルト9

念願のワイルドスピードシリーズ新作!
前回は劇場で見逃したので、最速上映に行ってきた。

さすがにアクションは面白いんだけど、それ以外がほんと酷い。
どうでも良すぎてアクションシーンになっても緊迫感がない。
うお!っていうアクションがあって初めてテンションあがる感じだった。

あのF1みたいなやつでもっと押してほしかった。
ロシアの飛行機は絶対いらない。

ただあのラストはやばい!こいつがこのシリーズに参戦するのか!思い入れまったくないけど!
そしてハンがこれから高校生になるのかと思うと胸熱。

2013年7月2日火曜日

「スプリング・ブレイカーズ」

劇場:バルト9

あまり好きになれていないハーモニー・コリンの新作。
ビッチなねーちゃんたちとレインボーの配色と凝ったクレジットのせいで期待は大だったんです。

でもやっぱりダメだったんです。
この3つが合わさった瞬間、それはもう「エンター・ザ・ボイド」で、あの巨大なラリったゴジラのような映画をそうそう超えられるわけがない。
もしほんとにあれをパクったのだとしたら、それ以上に見たこと無いものを見せて欲しかった。
結局二番煎じでその上ふつーのストーリーを持ってこられてふつーのクレジットを流して終わるなんてありえない!

1つだけ、泥酔してクラブで踊ってる時に感じる一瞬の永遠を感じられそうになったので良かった。

これは完全に「エンター・ザ・ボイド」と比べてものすごく視野が狭い意見なのであしからず。
「ヘルタースケルター」を見た時のような怒りを収めるために「エンター・ザ・ボイド」を見て落ち着こうと思います。