2014年12月17日水曜日

「メビウス」

ついに見たよメビウス。
キム・ギドクと言えば、中学の時毎月隅から隅まで読んでいた映画雑誌”プレミア”で「悪い男」が盛り上がっていて、いつか観なきゃと思いつつ結局一本も観れずにここまで来てしまっていた監督。
これが初キム・ギドクで良かったのかもしれない。

キャッチコピーは「不思議の国のペニス」!
描写はリアルめなんだけどとても寓話的で、恐らく主人公は父親のペニスなんだと思う。
物語の展開(ペニスの境遇)が、めちゃめちゃ面白く、というかもうこれしか無い!ってくらい完璧だった。
やってることは痛いんだけど、展開が気持ち良すぎてどんどんお父さんのペニスと気持ちが一体化してしまって笑顔になる!
ペニスにも心はあるんだ!自殺もするんだ!

演出は全てにおいて素晴らしかった。
ラース・フォン・トリアーといい、どうしてこんなにも物語を面白く魅せてくれる人は性に取り憑かれているのだろう。
日本でいうと「女囚さそり」シリーズを筆頭とするピンキーバイオレンス的な匂いがむんむんして、そんな映画をリアルタイムで劇場で観れる事に感動した。
夢の撮り方一つみてもキレっキレ。

後で知ったのですが、お母さんと浮気相手は一人二役だったらしい。
浮気相手の偽乳を見て、なんでこの映画に偽乳の女優使うんだとキレそうになったのですが、お母さんもまた偽乳だったのはそういう事だったのか。
二人とも偽乳だった時、この映画の言わんとすることが理解出来た気がしたのだけど幻想に終わってしまった。
もし偽乳に意図があって、この映画のために入れたのであれば、それこそ女優魂だなと。
多分違うんだろうけど。

ラストシーンについては、もっと身震いするような(衝撃的という意味ではない)エンディングを期待していたけど、自分の描く物語のラストと合致してしまって、”不感症フィルム”の目指すべき、そしてその先にあるものを探さなくちゃなあと考えさせられた。
寓話的、というのはこのラストにも深く繋がっている。

表面上は性に取り憑かれた人間の醜いドタバタエログロブラックコメディなんだけど、とても優しく、そして愛を感じられる映画。
今年不動の一位でございます。
もう一回くらい劇場で見たい。


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