2011年5月15日日曜日

「ブラックスワン」その2

なんかぼーっと考えていたことをまとめて。
今回はネタバレしかありません。

この映画のキーポイントとなる”鏡”。
それが恐怖を煽る演出の基盤ともなっているのですが、それに映る、勝手に動き出す自分自身は何なのか考えていた。
一つ思いついたのは、それは”母から過度の期待を寄せられているニナの、母にとっての理想のニナ”。
それは結局、後半母に反抗しかしていないニナの理想でもある。
どうしておまえは出来ないんだ、と自分自身に言われている感じ。

ラスト、その鏡の破片で自分自身を刺すということは、理想の自分との融合ではないかと思った。
あの完璧な黒鳥の踊りをするための映画的儀式みたいなもの。

それで思い出したのが「ファイトクラブ」。
ラスト、主人公が銃を咥えてぶっ放すシーン。
すると理想の自分であるタイラーも口から煙を吐き、倒れて消えてしまう。
誰かの完全読解で、あのラストは主人公がもう一人の自分・タイラーを殺したのではなく、理想の自分と融合したシーンだ、と言うのを昔読んで納得した覚えがある。
その後の主人公の表情・台詞や、マーラの表情をみるとそれも頷ける。

ただ主人公が自分を傷つけて悩みから解放されるのではなく、一段上の世界へ行く。これが重要なのだと思った。
でも二作品とも、成長した主人公は長くは生きられない。彼のいるビルは爆発し、彼女はダンスと共に力尽きてしまう。

ダーレン先生がこのラストに至ったことは、自分の中でとても興味深くて(原作のこともあるだろうけど)デビュー作「π」では、数学の天才である主人公がラスト、自分の頭に電動ドリルを突き刺し、脳を傷つけることによって悩みから解放される。
そのラストを経て、今回の「ブラックスワン」のラストがあるのだと思う。

自分はまだ、自ら死を選び、悩みから解放されるラストしか描けていないし、これからもやりつもりですが、いつかこのラストに辿り着けるのかしら。
これが言いたかった。

とりあえず、もっかい見てきます。

またもや追記:
ラストの黒鳥のバレエシーン、「BECK」の最後まで聞かされることは無い歌声や、「エンジェルウォーズ」の最後まで見せない踊りなどなど…、この映画を見て勉強しろ!って言いたくなった。

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